パワハラはいつの時代もなくならない

パワハラはいつの時代もなくならない

 

最近、またもやパワハラに関するニュースが飛び込んできた。大手企業の幹部による部下へのパワハラ行為が発覚し、世間を騒がせている。正直なところ、こういったニュースを見るたびに深いため息が出てしまう。いつになったらこの問題は解決するのだろうか。パワハラは本当にいつの時代もなくならないのだろうか。

 

今回は、私なりの視点でパワハラについて考えてみたい。社会人として20年以上働いてきた経験から、パワハラの根深さと、なぜそれがなくならないのかについて思うところを綴っていこうと思う。

 

パワハラの定義と現状

 

まず、パワハラ(パワーハラスメント)の定義を確認しておこう。厚生労働省によると、パワハラとは「職場において行われる@優越的な関係を背景とした言動であって、A業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、B労働者の就業環境が害されるもの」とされている。

 

具体的には、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害などが挙げられる。これらの行為が継続的に行われることで、被害者の心身に深刻な影響を与えるのだ。

 

近年、パワハラに対する社会的認識は高まっており、2020年6月からは、パワハラ防止措置が事業主の義務となった。しかし、それでもなおパワハラは後を絶たない。むしろ、表面化するケースが増えているように感じる。

 

パワハラが起こる根本的な原因

 

では、なぜパワハラはなくならないのか。その根本的な原因について考えてみよう。

 

1. 権力構造の存在
組織には必ず権力構造が存在する。上司と部下、先輩と後輩、正社員と非正規社員など、様々な形で力関係が生まれる。この力関係が、時として不適切な形で表出してしまうのだ。

 

2. コミュニケーション能力の欠如
パワハラを行う側に、適切なコミュニケーション能力が備わっていないケースが多い。感情をコントロールできず、相手の立場に立って考えることができないために、言動がエスカレートしてしまうのだ。

 

3. 成果主義がもたらすプレッシャー
近年、多くの企業で成果主義が導入されている。短期的な成果を求められるプレッシャーの中で、上司が部下に対して過度な要求をしてしまうことがある。

 

4. 古い価値観の残存
「厳しい指導は愛情表現だ」「若いうちの苦労は買ってでもしろ」といった古い価値観が、いまだに組織の中に残っている。こういった考え方が、パワハラを正当化してしまうこともある。

 

パワハラが及ぼす深刻な影響

 

パワハラが続くことで、被害者はもちろん、加害者や組織全体にも深刻な影響が及ぶ。

 

被害者への影響
パワハラを受け続けることで、被害者は精神的・身体的な不調を訴えるようになる。うつ病や不安障害を発症したり、最悪の場合、自殺に追い込まれるケースもある。また、自信を失い、キャリアに大きな影響を与えることも少なくない。

 

加害者への影響
パワハラ行為が発覚すれば、加害者も処分の対象となる。降格や解雇といった厳しい処分を受けることもあり、キャリアに致命的なダメージを与えかねない。また、周囲からの信頼を失い、人間関係にも悪影響が及ぶだろう。

 

組織への影響
パワハラが蔓延する組織は、従業員のモチベーションが低下し、生産性が落ちる。優秀な人材の流出や、企業イメージの低下にもつながる。最悪の場合、訴訟問題に発展し、多額の賠償金を支払うことになるかもしれない。

 

パワハラ撲滅への取り組み

 

パワハラの根絶は簡単ではないが、少しずつでも改善していく努力が必要だ。以下に、いくつかの取り組みを提案したい。

 

1. 教育と啓発活動の強化
パワハラに関する正しい知識と理解を深めるため、定期的な研修やセミナーを実施する。特に管理職に対しては、リーダーシップ研修の一環としてパワハラ防止を徹底的に学ばせる。

 

2. 相談窓口の設置と周知
従業員がパワハラを受けた際に、安心して相談できる窓口を設置する。匿名での相談も受け付けるなど、相談しやすい環境を整える。また、その窓口の存在を全従業員に周知徹底する。

 

3. 組織文化の見直し
「上意下達」や「年功序列」といった古い組織文化を見直し、フラットで開かれたコミュニケーションを促進する。多様性を尊重し、互いの違いを認め合える文化を醸成する。

 

4. 処分の明確化と実行
パワハラ行為に対する処分基準を明確にし、それを全従業員に周知する。実際にパワハラが発覚した場合は、その基準に従って厳正に処分を行う。

 

5. ストレスマネジメントの推進
従業員のストレスを軽減するための取り組みを行う。メンタルヘルスケアの充実や、ワークライフバランスの推進などが考えられる。

 

個人でできるパワハラ対策

 

組織としての取り組みも重要だが、個人レベルでもパワハラに対抗する術はある。

 

1. 記録を取る
パワハラを受けた際は、日時や具体的な内容を詳細に記録しておく。証拠となる可能性がある。

 

2. 一人で抱え込まない
信頼できる同僚や上司、家族や友人に相談する。外部の相談窓口を利用するのも一つの手だ。

 

3. 自己肯定感を高める
パワハラを受けると自信を失いがちだが、自分の価値を見失わないようにする。趣味や自己啓発活動を通じて、自己肯定感を高めていく。

 

4. 境界線を引く
相手の言動がパワハラだと感じたら、はっきりとノーと言う勇気を持つ。自分の限界を知り、適切な境界線を引くことが大切だ。

 

5. 転職も選択肢の一つ
どうしても状況が改善されない場合は、転職も視野に入れる。自分の心身の健康を守ることが何より大切だ。

 

まとめ 変わらない社会、変わる私たち

 

冒頭で「パワハラはいつの時代もなくならない」と書いた。確かに、完全になくすことは難しいかもしれない。人間社会には常に力関係が存在し、それが時として歪んだ形で表出してしまうからだ。

 

しかし、だからといって諦めてはいけない。一人一人が意識を変え、行動を変えていけば、少しずつでも状況は改善していくはずだ。パワハラを許さない組織文化を作り上げていく。そのためには、私たち一人一人が声を上げ、行動を起こす必要がある。

 

パワハラは決して許されない行為だ。それは加害者にも、被害者にも、そして組織全体にも深刻なダメージを与える。私たちは、互いの人格を尊重し合い、健全なコミュニケーションを心がけることで、よりよい職場環境を作り上げていかなければならない。

 

今日からでも、自分の周りにパワハラの兆候はないか、自分自身がパワハラまがいの言動をしていないか、振り返ってみてはどうだろうか。小さな気づきと行動の積み重ねが、やがて大きな変化を生み出すはずだ。

 

パワハラのない社会の実現は、決して夢物語ではない。それは私たち一人一人の手に委ねられているのだ。